D社リコール問題について

2020年末にD社における自動車燃料供給装置の不具合によるリコールが発生しました。
700万台を超える対象となっています。
内容は樹脂製羽根車(インペラー)の破損です。PPS-GF材料による成形品の内部にボイドが
発生したことによりガソリンが侵入し、製品が膨潤したことが要因と告げられています。

主たる原因は成形条件の不適正であり、金型温度を低く設定したことで、結晶化が低く、
製品強度が出ていないとされています。

弊社の様にボイドに関して多くの知見をもっているものであれば、伝えられています内容には
幾つかの矛盾があることに気付きます。

①ボイドにガソリンが侵入することで製品が膨潤することは考えにくい
②結晶化を促進させる(金型温度を上げる)とボイドは成長する方向になる

そもそもスキン層を通り越してボイドにガソリンが侵入するためには、
スキン層が薄いことや大きなボイドが発生し、その歪によりスキン層が破壊される
必要があります。前者の場合、金型温度は高い時に現れ、後者の場合、充填圧力が
低下しているときに現れます。

弊社の見解として、PPS-GF材料の場合、ボイドが発生する際、クラック状に
現れ、ボイドの正確な位置の特定が難しいこともあり、
大きな強度低下をもたらすことになります。
この強度低下はクラック状のボイドであることで、脆性破壊的な要素を持っており、
長期使用などでは十分な注意が必要です。

PPS-GF材は金属部品の代替材料として脚光を浴びていますが、これらのことを
十分に配慮した製品設計、製作が必要です。


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