ウエルドラインの改善方法

ウエルドラインは多点ゲートや製品形状により分流してしまった溶融樹脂が再合流する現象において線状の痕跡が残ることを指します。この線状は平滑な製品表面にV字の微細な溝が線状に現れています。

ウエルドラインの問題として外観上の品質低下/強度低下の2つが主です。

外観上の品質低下は下記の方法で解決しています。

  • 膜厚の厚い塗装によりV字溝を覆い隠す
  • 外観上問題にならない箇所にウエルドラインを移動設定する
  • ヒート&クール工法を使って、V字溝を肉眼で見えないレベルまで小さくする

強度低下の解決策としては、

  • ウエルドラインの発生する位置を調整する(強度の不要な位置に移動)
  • ウエルドライン近傍に樹脂だまりを設けてウエルドラインを崩す
  • IMM工法を使う

ウエルドラインの強度低下は繊維状添加剤の入った強化樹脂において顕著に表れます。

これは溶融樹脂の充填行為により、繊維状添加剤が規則的に配列(配向)する現象において再合流部に極端な強度低下となる配向が現れることで生じる現象です。強度低下の割合はウエルドライン以外の箇所の強度を100とした場合、ウエルドライン部強度は30~70%程度です。強化処方を強くした材料はウエルドライン強度低下率も大きくなる傾向です。

確定した材料において常識の範囲内での成形条件ではウエルドライン強度はほとんど変化が無く、稀にチャンピオン製品が出来たとしても安定して成形できない不具合です。

IMM工法はウエルドライン強度を改善する目的で、当社で開発した技術です。上記ウエルドライン近傍に樹脂だまりを設ける手法は射出工程に依存するため、不安定となりますし、何より工程の都合上保圧が掛かりにくいといった問題があり、ウエルドライン強度向上にはマイナスの影響があります。

IMM工法は射出工程の影響を受けずに積極的にウエルドライン強度を改善しますし、その行為自身、保圧効果があることからウエルドライン強度改善にはプラスに働きます。

IMM工法以外に劇的に強度を改善する技術は今のところ無いようです。


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