ヒケの改善方法

ヒケとボイドの発生原因は同じ充填圧力不足です。

樹脂は冷却固化工程で体積収縮を起こします。特に肉厚部の体積収縮率が高いことが主たる要因です。業界でスキン層と称されている製品表面の射出後早期に固化する層の事ですが、製品が冷却工程を行っている条件下で、圧力損失が生まれる部位(肉厚部位)では、表面の固化層が厚く、頑丈である場合、製品内部にボイドが発生します。逆に表面の固化層が薄く、軟らかい条件ではヒケが発生します。また、ヒケとボイドが同時に起こることがあります。

ヒケを抑える対策としては成形条件と製品設計での対応となります。

<成形条件>
成形条件での対処方法としては、

  • 1-1
    樹脂の内圧を高める
  • 1-2
    製品表面の固化層を厚くし、強制的にボイドを発生させる
  • 1-3
    発泡材料を使い、内圧を下げない材料で成形する

<対策>

  • 2-1
    型温度を高め、ゲートシール(ゲート口が固化して、材料がそれ以上入らない現象)を遅くし、 高圧で樹脂を型内に射出する、ゲートシールを遅くした分、射出圧力を掛けている時間も長くする必要がある。
  • 2-2
    2-1と逆さの対処方法で、型温度を低めに設定し、厚く頑丈な固化層を形成し、強制的にボイドを発生させる、 比較的に射出圧は低めに設定します。
  • 2-3
    発泡材料は通常の成形材料に発泡剤を添加して行う方法と、微細発泡成形方法とが在ります。

    考えは2-2の強制的に内部にボイドを形成する考えと同じで、ボイドの大きさを微細に出来る特徴があります。 発泡剤は樹脂を作る時点で混練する事ができず、材料にまぶして使用するため混ざりムラがおこりやすく、 安定的な成形を行うのが困難です。 その点微細発泡成形ですと安定的な発泡が可能となります。 問題は外観上、フラッシュ不良がおきてしまうことです。 射出圧力で改善できますが、製品形状でフラッシュが解消できない事もあります。 その問題を解消する方法として異材成形があります。 これは外観の樹脂と内部の樹脂と2層で成形する技術で、内部の材料を発泡材料を入れることにより 外観のきれいな、内部のボイドを微細にして成形する事が可能です。

<製品設計>

ヒケを発生させない製品設計の特徴として、先ず製品の肉厚を比較的薄く、均一にする事です。 その上で圧力損失の発生する可能性のある部位の肉厚を更に薄くする必要があります。 圧力損失の発生する部位はゲート位置、金型の構造などが理解されていないとなりません。 対策の3項目共に抜本的な解決方法とはなりません。2-1は一定のレベルのヒケに対して有効です。多くの成形業者はこれと同じ事を行って対策しておりますが、 対策方法としては限定的です。 2-2、2-3は強制的に内部にボイドを発生させる手法ですので、 強度という観点を無視した考え方であり、注意が必要です。根本的にはシミュレーションソフトを使い製品形状をチューニングすると良いでしょう。

<IMM工法による改善方法>

IMM工法は必要な箇所に必要な圧縮をかける事によりヒケを高いレベルで抑える事が出来る事から、 偏肉製品、肉厚製品に対応し、製品設計の自由度が大幅に増す事ができる。


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